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大学入学共通テストのプレテストの問題を解いた感想その7(数1A第2問〔2〕後半)

 前回の続きです。掻い摘んで問題を載せておきます。

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出典:大学入試センター



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出典:大学入試センター



 消去法ではなく、ピンポイントで③を選びたいところです。相関係数の式は以下のように書けました。

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 そして、標準偏差とは、√(分散)で、分散とは「偏差の2乗の平均値」でした。さらに、偏差とは、「(データ)-(平均値)」ですから、yのすべてのデータが2だと、yの平均値も2となり、偏差は0になり、yの分散もyの標準偏差も0になります。よって、他の値に関係なく、相関係数の分母は0となり、相関係数は存在しないということになります。

 

 ちなみに、分母が0である数は存在しないことはご理解いただけるでしょうか?一応、下に簡単な証明を載せておきます。(背理法を使っています。)

 

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 この、分母が0にならないことを知っているかを問う問題が、高校生の数学ではテストなどでよく見かけるのですが、中学校の数学では見かけた記憶がありません。何故でしょうね?知っている人は教えてください。

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出典:大学入試センター

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出典:大学入試センター

 この問題は一見難しそうなのですが、実は、この後の問題文と解答の選択肢にヒントが書いてあります。

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出典:大学入試センター



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出典:大学入試センター



  (ツ)の前に、(テ)と(ト)から考えましょう。相関係数は、変量xとyとの関係性を表していて、ざっくり右上がりの散布図になるときは1に近づき、強い正の相関があると言い、ざっくり右下がりの散布図になるときはー1に近づき、強い負の相関があると言います。散布図が右上がりとも右下がりとも言いにくいほどまんべんなく散らばっているとき、相関係数は0に近づき、相関関係は弱い(ない)と言います。

 

 ですから、相関係数が1だったりー1だったりするときというのは、散布図は直線(に近い状態)になっていると考えられます。以上のことから、(テ)が④、(ト)が③であると言えます。

 

 ここで、(ツ)の選択肢に戻って考えると、①③④の選択肢の文章が明らかに正しいことが分かります。さらに、②の選択肢の文章が明らかに間違いでこれが答えであることも分かります。⓪の選択肢の文章に関しては、(チ)のところで検討しています。エラーになるんでしたね?よって、文章が正しいことが分かります。

 

 あまり、今回のような形で散布図や相関係数について問われたことはなかったでしょうから、戸惑った受験生は多かったと思いますが、このデータの分析という単元こそ、数学を使いこなせる力を試すという新テストのコンセプトにぴったりでしょうから、今後、どのような問題が出題されるのか、個人的にはワクワクしております。