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数学って何のために勉強するの?という人を減らすためのブログです。お役に立てたならば幸いです。

掛け算と割り算を改めて考える

 以前授業で「aをn回足したらan」と言ったときに、ある生徒が「?」の表情だったので、そのときは具体的に「2を3回足すってことは2を3倍することだから、同じように考えて・・・」と説明したのですが、「掛け算って何?」と聞かれて答えられない生徒がたくさんいるんだろうなぁと思ったことを覚えています。

 

 また、よく取り上げられる話題でもある、「割り算は何故掛け算になおすときにひっくり返すのか」に関しても、「割り算って何?」に答えられない人がたくさんいるから、こういう話題になりやすいのだろうなぁとも思っています。実際、この割り算の解説は書籍やネットでも取り上げられているものがありますが、これを理解するのは小学生には難しいんじゃないかな?とも思っているのですが、「割り算って何?」を分かっていたら、完璧には理解できなくても、何となく納得できるくらいのレベルにはなると思います。ということで、今回は、算数の基礎中の基礎、掛け算と割り算について、改めて考えてみます。

 

 まず、掛け算の定義ですが、2×3とは、2を3回足す、つまり、2+2+2のことでもあるし、3を2回足す、つまり、3+3のことであると言ってよいと思います。これよりも、2×3とは2を3倍(3を2倍)することという認識の人が多いかもしれません。それはそれで構わないのですが、2を3倍と言われて、きちんと2+2+2を連想できるようにはなっておいた方が良いでしょう。

 

 出来る人からしたら当たり前のことですが、8+8+8を8×3と出来ない人や、逆に、8×3とは8+8+8のことであると言えない人もいらっしゃいます。この逆という考え方は意外と難しかったりするので苦手な方は意識すると良いと思います。

 

 次に割り算です。まず問題です。問題っぽくないと思いますけど考えてみてください。

(問題)6÷2の計算をおこないます。この計算をおこなう問題として連想するのは次の内、どちらでしょうか。

(1)6個のりんごを2人で分けると一人当たり何個になりますか。

(2)6個のりんごを2個ずつ配ると何人に配れますか。

 

 おそらくほとんどの方が、(1)の方を先に連想して、あ、(2)でもいけるね!という感じなのではないでしょうか?これは小学校のときの教育によるものなのではないかと想像するのですが、まず(1)を連想すると思われます。でも、(1)だけでなく(2)の考え方も有効なんです。

 

 つまり、6÷2とは「6をふたつに分けると何個か」という考え方と、「6の中に2がいくつ入っているか」という2通りの解釈があるんです。そして場合によっては後者の方が考えやすいときがあります。例えば次の問題を考えてください。

 

(問題)3÷1/2(3割る2分の1)の計算をおこないます。この計算をおこなう問題として連想するのは次の内、どちらでしょうか。
(1)3個のりんごを1/2人で分けると一人当たり何個になりますか。
(2)3個のりんごを1/2個ずつ配ると何人に配れますか。

 

 どうですか?(1)だと無理がありますが、(2)は十分ありえる話ですね。図で解説すると下のようになります。

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割り算とは

 いかがでしょうか?厳密な証明ではなくても、割り算を掛け算にするときにひっくり返すべきであることが、「何個入っているか」という考え方を増やすだけで納得しやすいものになりました。こんな感じで、考え方ってひとつだけじゃなくて、たくさんあった方が理解しやすいし納得しやすいし良いと思うよ!ということを言い続けようと思います。