使える数学を目指して!

数学って何のために勉強するの?という人を減らすためのブログです。お役に立てたならば幸いです。

勉強の効果を感じやすくする仕組み

 前回のエントリーで、「成績が上がるのに時間がかかる理由」を解説しました。ご覧いただいた方々は、成績が上がるまでにはどうしても一定時間必要であることをご理解いただけたと思いますが、頭では分かっていても、それでもやはり効果は早く出て欲しいと思ってしまうのが人情ってもんです。教える側の人間もそれが分かっているので、その辺りを少しコントロールしながらやってるんですよね。今回は、私の考える、「少しでも勉強の効果を感じやすくする仕組み」についていくつか書いてみます。いち早く勉強の効果を感じたい!って方は参考にしてみてください。

 

 効果を感じるときの感情って、大きく分けて「分かった!」「解けた!」の二つではないでしょうか?「点数上がった!」っていうのは結果論で、点数上がったときっていうのは得てして「解けた!」がその前にあるはずですからね。この「分かった!」と「解けた!」は微妙に違いますよね。私は後者の方が効果を感じやすいと思っていますが、どう違うか説明できますか?もし出来なかった場合は、以前のエントリー「必要条件と十分条件」をご覧ください。

 

 つまり、「分かる」は「解ける」の必要条件に過ぎず、分かっているから解けるとは限らないんです。その理由としては、

(1)分かっているつもりだったけど本当に理解できているわけではなかった。

(2)きちんと理解できているけど演習不足で解けなかった。

(3)きちんと理解できているけど計算力不足で解けなかった。

と、こういうのが考えられます。この3パターンのどれもあり得る理由ですね。ひとつづつ解決策を考えながら、本題の、分かった!解けた!を感じやすくする仕組みを考えてみましょう。

 

 (1)本当に理解できているわけではなかったという場合、良くないことに、何となく解けてしますこともあるんです。何故ならば、よく理解できていなくても、出題にはある程度のパターンがありますから、反復演習を繰り返すことで、何となく解けてしまうことがあるんです。ですから、人によってはそれで満足してしまうこともあります。しかし、それだと、本質を突かれたり、初見の問題に出会ったときなどに対処することができません。今議論されている入試改革の趣旨から考えると、これでは今後の試験に対処することは難しいでしょう。また、何となく解けただけでは、「よし、解けた!」という手ごたえは得にくいと思われます。では、どうすれば、このような「分かったつもり」を回避できるのでしょうか?

 

 本当に理解できているのか調べるのに一番手っ取り早いのは、人に説明できるかどうかです。もちろん、質問されたらそれにも答えられないといけません。そこまで到達出来ていれば「何となく解けた」という状態ではなくなるでしょう。

 

 (2)定理などをきちんと理解出来ていても、演習量が少なければ、これも初見の問題に対処できるほどの実力はつかず、当然解けていないのですから手ごたえも感じられません。こういう場合は簡単ですね。演習量増やせば良いんです。教科書などに載っている問題をひたすら解けば良いのです。

 

 よく、どれくらい解けば良いですか?と聞かれるんですが、基本的に「自分で手ごたえを感じるまで解いてみたら?」と言うことにしています。そして、その手ごたえが正しいかどうかを試すために少量の確認テストを作成してあげています。

 

 以前は具体的な量を提示していたのですが、生徒が自分で思ったよりも多い量を私が言っているようで(もちろん私は必要だと思って言っているのですが)、逆に意欲をそぐことになってしまうことがありました。なので、どれくらい解くかは自分の判断で自己責任で行ってもらい、あとから足りなかったなと思えば増やしてもらえばよいかなと今は思っています。そうやって勉強量に関する自分の感覚を磨くことも大事ですよね。

 

 (3)計算不足も同じです。自分で納得いくまでやればよいのです。ただし、計算の方は、一気にやったからといってすぐに解決するものでもありません。計算ミスをなくすためには計算練習だけすれば良いというものでもないと私は思っています。これもまた別エントリーで書きます。でも、基本的には(2)と同じで、自分で納得いくまで対処するっていうことですね。

 

 まとめると、テストではなく、問題を解くことで日常的に手ごたえを感じるためには、

1.理解したと思ったことを人に説明してみること。また、人の質問に回答してみること。

2.自分で手ごたえ感じるまで演習してみた後、誰かに確認テストしてもらうこと(計算練習含む)。

だと思います。

 

 おまけにもうひとつ。模試は範囲が広いためなかなか勉強の効果が表れにくいですが、中間テストや期末テストで範囲が狭い場合(広い場合は例外)は、その単元だけ集中してやれば得点を上げることはそんなには難しくありませんから、まずは定期テストで結果を出すことを目標にすると良いと思いますよ。

 

 ただ、この場合も要所要所で基礎に戻りながらやらないといけないので、定期テストですぐに結果を出したい場合は、塾や予備校などの集団授業や一方通行になりがちなネット授業より、その場で質問にいくらでも答えてくれるような環境(家庭教師、個別塾)で教わった方が結果が出やすいと思います。わたしもそうですが、家庭教師を本格的にやっている人はそこら辺を押さえて定期テストをまず目標にしているはずです。

 

 私は、「解けなかった問題がスラスラ解けた!」という手ごたえの方がメンタルへの効果があると思っていますけどね。