使える数学を目指して!

数学って何のために勉強するの?という人を減らすためのブログです。お役に立てたならば幸いです。

速さの計算(受験数学の基礎)

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小学校で教わるやつ

 前回の続きで、速さの計算です。私は小学校で教えている「はじき」の公式が嫌いです。公式を使うことはもちろん構わないのですが、何故そうなるのかを考えることもなく、ただ丸暗記しても、それはあまり使える知識、使える数学(算数)とは言えません。今回は、速さの定義などに遡りながら、この公式の意味、計算方法を考えてみることにします。

 

 (問題)時速40kmの速さで3時間走ると何km進めるでしょうか。

 

 最初に、距離の求め方からやりましょう。「はじき」の公式をみると、距離は、(速さ)×(時間)で求めることが出来ます。何故でしょうか?

 

 前回やりましたが、そもそも速さとは何だったでしょうか?単位時間あたりに進む距離でしたね。例えば、時速40kmとは、1時間に40km進めるということでした。ということは、

 1時間→40km

 2時間→40×2km

 3時間→40×3km=120km

と、何倍という考え方(比)を使って考えたら分かりますね。つまり、速さとは1時間で進める距離なので、それにかかる時間倍することで進める距離が求まるわけです。きちんと意味を考えたら、公式なんか必要ありませんね。

 

 少しだけ注意点があって、速さは、時速、分速、秒速などあります。これは1時間あたり、1分あたり、1秒あたりという違いがあるだけなのですが、これを意識して、単位をそろえて計算する必要はあります。

 

(問題)分速10mの速さで2時間走ると、何km進めるでしょうか。

 

 分速を時速になおして計算しても良いですし、時間を分に直しても大丈夫です。しかし、基本的には単位を小さくした方が、数字は大きくなって計算しやすいです。今回は、2時間を分になおして計算します。これも、比を使います。

 

 1時間=60分

 2時間=60×2=120分

 

 そして、分速10mは1分間で10m進めるということでしたから、

 

 1分→10m

 12分→10×12m

 120分→10×120m=1200m=1.2km

という風に求まりますね。

 

 次に、速さを求めましょう。

(問題)3時間で120km進みました。速さを求めなさい。

 

 あくまでも「はじき」の公式は使わず、定義に従って考えます。速さとは何でしたか?そう、単位時間に進む距離です。今回は1時間あたりに進む距離を求めましょう。

 

 これは、「3人で120個のリンゴを分けました。1人あたり何個でしょうか」という問題と同じです。リンゴは1人あたりの個数、速さは1時間あたりの距離。つまり、120を3で割れば良いことが分かります。公式など使わずとも容易に分かりますね。速さとは1時間あたりに進める距離を出しているのだということさえ意識しておけば大丈夫です。

 

 最後に、時間を求めましょう。

(問題)120kmを時速60kmで走りました。何時間かかったでしょうか。

 

 しつこいですが、公式を使うのではなく、定義から考えます。時速60kmとは1時間に60km進めるということでした。かかる時間をもとめたいのですが、120kmの中に、60kmが何個入るかと考えれば大丈夫ですね。これも割り算の定義だったことは覚えてらっしゃいますか?お忘れの方は、以前のエントリー「掛け算割り算を改めて考える」をご覧ください。120kmの中に60kmが何個入っているか求めるので、120÷60で、2時間と求まります。

 

 いかがでしたか?小学校5年生で勉強している速さですが、定義をきちんと理解していれば、「はじき」の公式は不必要でしたね。このあたりの「定義をきちんと理解する」ということが出来ていると、中学、高校に進んでから意外と苦手な人が多い、化学や物理で扱う簡単な算数計算も躓かなくて済みます。本当に多いんですよ。ただの算数なのにできない高校生。

 

 小学生の内から、こういう簡単な定義を理解して使いこなすという訓練は、是非、やっておくことをおすすめします!