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最小公倍数の求め方(受験数学の基礎)

 今回は通分のための準備です。通分とは、分数の足し算、引き算をするときなどで行われる、分母の数をそろえる行為です。通分なんかできるよ!小学生か!とお怒りのあなた、実際の現場で教えていて、通分をまともに出来ない、またはスラスラ出来ない高校生は、少なく見積もっても3割はいます。私の肌感覚ですが。なので、今回は、出来て当然の通分をするための前段階について説明していきます。

 

 通分をするときに欠かせないのが、最小公倍数の求め方ですね。倍数については以前のエントリーで解説してますので、理解が怪しい人は先に見てください。複数の整数において、共通の倍数のことを公倍数といい、その中で最も小さいものを最小公倍数と言います。分母を最小公倍数に揃えることで、分数の足し算引き算が可能になります。

 

 偶然かもしれませんが、最近、この最小公倍数の求め方をきちんと習っていない生徒が多いように感じています。私が言っているのは、決して、「91と403の最小公倍数を求めよ」みたいな、ややこしい問題が出来ないと言っているのではなく、至って簡単な問題も、何となく感覚でやっていたりして、きちんと求め方を学校で習っていないのかな?という生徒が多いように感じているのです。というわけで、私が小学生のときに習った最小公倍数の求め方を敢えて解説することにしました。そんなに難しくはないので参考になさってください。

 

 (問題)48と72の最小公倍数を求めよ。

 

(方法その1)まずは、原始的な方法です。このやり方は、恐らく小学校で習う方法です。まず、大きい方の数を2倍3倍と整数倍したものを書き並べます。

 

72、144、216・・・と。大体3つか4つくらい書き出すと、この中に48の倍数が潜んでいることが分かります。この場合は、48×3=144なので、144が、48の倍数でもあり72の倍数でもある最も小さい数、つまり、最小公倍数だと判明しました。

 

(方法その2)48と72を横に並べ、48を割ることもできるし72を割ることもできる数、つまり、48と72の公約数で割っていきます。そのときの商(割り算の答え)は、下に書きます。これを最大公約数が1になるまでやっていきます。

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最小公倍数の求め方

 上の図では、4で割って更に6で割っていますが、最初から24で割れることに気づけば、それがベストです。そしてこのときの24(左側の数の積)が、48と72の最大公約数で、赤線で囲んでいる部分の積が、最小公倍数です。 今回は、144となって、(方法その1)と同じ結果になりました。

 

 今回の結果だけみると、(方法その1)の方が簡単だと思いませんでしたか?そうですね。私もそう思います。ところが、(方法その2)は、3つの数の場合でも使えるんです。下に、16と18と24の最小公倍数を求めてみます。

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3つの数の最小公倍数

 まず最初は3つ全てを割り切れる数で割ります。次の、8、9、12の最大公約数は1なので、3つ全てを割り切れる数はもうありません。よって、16、18、24の最大公約数は2ですが、最小公倍数を求めるときは、3つの内2つを割ることが出来る場合も続けます。上では、8,12を4で割っています。このとき、割っていない9は、そのまま下ろします。これを続けると、上図のようになり、最小公倍数は、赤線内部をすべて掛けて、144となります。

 

 いかがでしょうか?これで大体の最小公倍数、最大公約数は求まります。もっとややこしいやつは、ユークリッドの互除法で最大公約数を求めるのが有効です。これはまたの機会に。